近年、わが国において橋梁やトンネルでの重大な損傷が多く報告されています。これは高度経済成長時（1960年代～1970年代初頭）にかけ急速に整備された社会基盤施設の多くが、建設後40年から50年を過ぎ、経年劣化により耐久力が低下していることに起因します。

例えば橋梁に関しては、国土交通省が発表したデータ（2013年）によると、2m以上の橋梁は全国に約70万橋存在しています。その内、建設年数が判明している橋は約40万橋であり、2023年にはその40万橋の中の約43％が、2033年には約67％が建設後50年を超えるという状況にあります。

大切な資源である橋梁やトンネル、砂防関係施設などの社会基盤施設を長く安全に利用するためには、定期的な点検によって損傷を早期に発見する必要があります。軽微な損害であれば、損傷が深刻化しないよう対策することで寿命を伸ばすことができるからです。一方、損害が深刻化してしまうと、大規模な修繕が必要となり、さらにはその寿命も結果的に短くなるのです。

わが国においては、このように社会基盤施設の劣化が進んでしまってからの「事後対応」型ではなく、損傷が軽微なうちに修繕などの対策を講じる「予防保全」型を推し進めています。

このような社会的要請を受け疾測量グループでは、近接目視は元よりUAVなどを用いて統一的かつ効果的に点検を実施し、客観的な基準で健全度の評価を行っています。そうすることで「予防保全」だけでなく、効率的な維持管理や、今後の修繕計画を立てるための基礎資料の蓄積にも役立てられます。また蓄積された点検結果を広く共有することにより、維持管理・構造上の問題点・改善点の抽出、より耐久性・維持管理に優れた社会基盤施設の貴重なデータの蓄積をおこなうことも可能となります。